セラスクリアーーーーーvvvvvvv
 で、談話室ってどうすれば行けるの??
 それにしても、切ないね〜、あのエンディング!
 
 てな訳で、セラス×アリシアSS。
 ネタバレ含むので、続きを読むにしておきます。
 ちなみに、 思い切り後味悪いSS です。

 

 貴方が死ぬ時は、私も一緒にお供します。
 だから、その時は言ってくださいね。
 「死後の従者もおまえだけだ」と……。



 「セラス」
 女が名を呟く。
 優しい声が、耳に届く。
 「……ご主人様」
 
 呼ばれた男は、その傍らに寄り添う。
 主人と呼ばれた女は、年老いた女性。
 豪奢なベッドに横たわり、セラスを見つめる。
 表情は柔らかく、穏やか。
 けれど、死期はすぐそこまで来ている。
 誰が見てもそれは明らかなくらい、彼女は衰弱していた。
 『老衰』
 それが、アリシア=ヒルデガルドの病名だった。


 「命を……ご命令を……」


 男は、必死に声を出す。
 早く。
 早く言ってもらわねば。
 そうでないと、ご主人様が!


 男は、焦っていた。
 主人の死は、刻一刻と迫っている。
 こうしている間にも、永遠の別れの時は足音をたてて、近づいている。
 どうしても、言ってもらわねばならない。
 アリシアにとって、最後の命令。
 セラスにとって、最初で最後の我がままを……。
 
 「ご主人様!!」
 
 苛立ちげに、セラスは大声を上げる。
 その声は、大気を震わす。
 ドラゴンの発した音は、万物を揺るがす力を持つ。
 
 「セラス……。
  最後の、命令よ?」

 途切れがちな声が、涙を溜めた男にかけられる。
 
 「はいっ!」

 嬉々として、男は顔を上げた。
 
 これで、死ねる。
 この方の、死後のお供が出来る。
 死してなおも、ご主人様と私は共に!
 
 「……生きなさい」

 少女の頃と、なんら変わらない笑みがセラスに向けられる。
 
 「いま……なんと?」

 信じられなくて、男は彼女に目を向けた。
 
 「ごしゅじん、さま……?」
 
 「生きるのよ、貴方は……生きて」 
 
 言って、笑んだまま女は瞳を閉じた。


 「嫌です!
  どうしてそんな命令をされるんですか!?
  私は……私はそんなことを言ってもらうために、従者になった訳じゃない!!」


 涙が溢れてくる。
 それを拭うこともせず、セラスは主人の体を揺する。


 「ご主人様っ……!!
  お願いです、目を開けてください!
  そして、命令を……。
  私に死をお与えください!!!」
 
 アリシアの体が、大きく揺れる。
 
 「ご主人、さま……!!」

 呼んでも呼んでも、声は返ってこない。
 瞼は閉じられ、愛おしい色の瞳は見ることが出来ない。
 少しづつ、少しづつ。
 体温は下がっていき、顔は色を失っていく。
 生物は、屍へと変化する。
 その瞬間を体に刻み込むように、セラスは恋人を力強く抱きしめた。
 
 
 孤高のモンスターは、長い生の中で苦しんだ。

 唯一の存在であった主人の命に、背くことは出来なかったから。
 ほんの一瞬の瞬きを手にしたがため、長い長い暗闇をさまようことになった。

 それは、昔々の悲しいお話――。